sinのテイラー展開
sinのテイラー展開は以下のように表されます: \[ \sin(x) = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-1)^k}{(2k+1)!} x^{2k+1} \] この展開は、任意の実数xに対して収束します。 グラフは、sin(x)とそのTaylor多項式を比較したものです。 次数nを大きくすると、Taylor多項式はsin(x)に近づいていきます。
実際の数値計算では、$\sin$は直接計算できないため、 $\sin$のテイラー展開を用いて近似します。 fdlibm(https://www.netlib.org/fdlibm/) では、16次のTaylor多項式を用いて$\sin$を近似しています。 16次程度では、視覚的にも2周期が限界ですが、 三角関数の周期性を利用して, $[0,\pi/4]$の範囲で$\sin$と$\cos$の近似計算をさせて、 その結果を用いて$[0,2\pi]$の範囲で$\sin$を近似しています。
線型消散型波動方程式の解作用素
空間1次元の自由消散型波動方程式の初期値問題 \[ \begin{cases} \partial_t^2 u + \partial_t u - \partial_x^2 u = 0, & (t, x) \in (0, \infty) \times \mathbb{R} \\ u(0, x) = u_0(x), & x \in \mathbb{R} \\ \partial_t u(0, x) = u_1(x), & x \in \mathbb{R} \end{cases} \] の解$u$は, $u_0$と$u_1$が局所可積分ならば, \[ u(t) = S(t) (u_0+u_1) + \partial_t S(t) u_0 \] で表されます。ここに \[ S(t) f(x) = \int_{-t}^t K_0(t,y) f(x-y) dy, \] \[ K_0(t,y) = \frac{1}{2} e^{-t/2} I_0\left(\frac{\sqrt{t^2-y^2}}{2}\right) \] とします(但し$|y| \leq t$です)。 ここに$I_0$は0次の修正ベッセル関数です。
Pierangelo Marcati先生と西原健二先生の2003年の論文 doi:10.1016/S0022-0396(03)00026-3 によって, $S(t)$は熱核(自由熱方程式の解作用素を与える積分核)に漸近する事が示されています。
数値計算によって、$S(t)$は熱核に漸近する様子を観察するものが、上のグラフです。 分かりづらいですが、青が$K_0(t,x)$のグラフで、オレンジの破線が熱核のグラフです。 緑の破線は青の線の時間偏微分$K_1(t,x) = \partial_t K_0(t,x)$になっていて、赤は青と緑の合計になっています。 時間無限大では、$S(t)$は熱核に接近するわけですが、視覚的に1分はもすると区別がつかなくなります。 ただし、修正ベッセル関数はTaylor展開で近似しているため、近似次数が低くなると精度が悪くなります。 近似の精度はグラフのバーの$k$の値によって変わります。 2分くらいのシュミレーションでも$35$次近似くらいは必要です。
2x2行列による線形変換の可視化
上の図は、2x2行列による線型変換の様子を可視化したものです。 左が変換前の図で、右が変換後の図です。 (変換行列を$A$とすると$A \vec x$が右図に対応します。) 赤と青の矢印は、行列の固有ベクトルです。 灰色の矢印は、変換前後の基底ベクトルです。